介護施設の見学に5ヶ所行って分かった、良い施設の見分け方

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「施設に入れるなんてかわいそう」という言葉が頭から離れなかった。でも現実として、母を一人で介護し続けるのは限界に近づいていた。

母は85歳で要介護3。認知症の症状もあり、夜中に何度も起きて「家に帰る」と言い張る。僕は40代の会社員で、妻と子どもも一緒に住んでいる。家族全員が疲弊しかけていた。

そこでケアマネさんに相談して、施設の見学を始めることにした。最終的に5ヶ所を見学して、いろいろなことが分かった。「良い施設の見分け方」というほど大げさなものでもないが、実際に足を運んで初めて分かったことを書く。

まず施設の「種類」を整理する——混乱しやすいポイント

施設見学に行く前に、まず種類の違いを整理した。正直、最初は何が何だか分からなかった。

施設種別 対象 費用目安(月) 待機状況
特別養護老人ホーム(特養) 要介護3以上 8〜12万円 数年待ち
介護老人保健施設(老健) 要介護1以上 10〜15万円 比較的入りやすい
介護付き有料老人ホーム 要支援1以上 15〜30万円 比較的早い
住宅型有料老人ホーム 自立〜要介護 12〜25万円 施設による
グループホーム 要支援2〜要介護5(認知症) 15〜20万円 数ヶ月〜1年

母の場合、要介護3・認知症ありなので「特養」「介護付き有料老人ホーム」「グループホーム」が候補になった。老健は医療ケア・リハビリが目的で長期入所向きではないため除外した。

5ヶ所見学した施設の内訳と第一印象

見学したのは以下の5ヶ所だ(施設名は仮名)。

  1. 市立〇〇特別養護老人ホーム:公設公営の特養。月10万円以下。待機者450名。
  2. 社会福祉法人A会の特養:社福法人運営の特養。待機者200名。個室ユニット型。
  3. 介護付き有料老人ホーム「さくら苑」:民間大手チェーン。月18万円。空室あり。
  4. 有料老人ホーム「ひだまり」:地元中小法人運営。月16万円。認知症ケアに強み。
  5. グループホーム「のぞみ」:定員18名の小規模施設。月17万円。2ヶ月待ち。

見学は全てケアマネさんに予約を取ってもらった。自分で電話しても断られることはないが、ケアマネ経由の方がスムーズだし、後の入所申請にもつながる。

実際に足を運んで気づいた「良い施設のサイン」

スタッフの表情と入居者への接し方

5ヶ所を回って最も差があったのがここだった。良いと感じた施設では、スタッフが入居者の顔を見て話しかけていた。「〇〇さん、今日は調子どうですか」という一言があるかないか。

逆に気になった施設では、スタッフが入居者の横を黙って通り過ぎていた。忙しいのは分かる。でもそこに愛着があるかどうかは空気で分かる。

グループホーム「のぞみ」は定員が少ない分、スタッフ一人ひとりが入居者の名前と好みを把握していた。見学中に「田中さんは昨日の夕食を全部食べられましたよ」とスタッフが施設長に報告する場面があった。こういう細かい情報共有ができているところは信頼できる。

においと清潔感

失礼を承知で言う。施設を見学するとき、玄関を入った瞬間の「においを嗅ぐ」のは必須だ。どんなにパンフレットが綺麗でも、実態はにおいに出る。

5ヶ所のうち1ヶ所、廊下に排泄のにおいが漂っていた施設があった。設備は新しくて見た目はきれいだったが、このにおいで即候補から外した。おむつ対応が追いついていないか、換気が悪いかのどちらかだ。

食事の実物を見る・可能なら試食する

昼の時間帯に見学すると食事の様子が分かる。市立の特養では、ランチタイムに見学させてもらった。刻み食・ペースト食など、個人の状態に合わせた対応ができているかを確認した。

「のぞみ」では見学時に小さな試食(お菓子と緑茶)を出してくれた。「入居者さんと同じものをどうぞ」と言われ、手作りのようかんだった。こういう余裕のある施設は、日常的に食事に力を入れている。

入居者が「することがある」かどうか

認知症の入居者にとって、ただぼんやりと過ごす時間が長い施設は良くない。午前中にレクリエーション、午後に個別の活動……という形で、何かしら「役割」や「楽しみ」がある施設を選びたかった。

「ひだまり」と「のぞみ」は、見学中もスタッフが入居者と一緒に折り紙をしていたり、洗濯物をたたんでもらっていたりした。「これ手伝ってもらえますか」という声がけが自然にできている施設は、ケアの質が高い。

入所待ちの実態——特養はどれくらい待つのか

特養の待機期間は地域によって大きく違う。都市部は数年待ちが普通だ。市立の特養に問い合わせたところ「現在450名の待機者がいます。目安は3〜5年です」と言われた。

特養は要介護度が高い人・在宅での介護が困難な人が優先される。申請した時点での要介護度より入所時の状態で判断されるため、「今から申し込んでおく」ことに意味がある。早めに申請だけ出しておいて、その間は有料老人ホームを使うという戦略が現実的だ。

母は結局、グループホーム「のぞみ」に申し込んだ。認知症対応の専門スタッフがいて、定員が少ない分きめ細かいケアが期待できる。待ち時間は約2ヶ月。費用は月17万円で年金と貯蓄で賄える範囲だった。

費用の実態——月いくらかかるのか

有料老人ホームの「月20万円」という数字に最初は驚いたが、内訳を確認すると必ずしも高すぎるわけではない。

費用項目 特養(個室) グループホーム「のぞみ」
介護サービス費(1割) 約22,000円 約25,000円
居住費 約60,000円 約60,000円
食費 約42,000円 約42,000円
その他(日用品等) 約10,000円 約15,000円
合計 約134,000円 約142,000円

低所得者は「補足給付(特定入所者介護サービス費)」という制度で居住費・食費が軽減される。市区町村民税非課税世帯であれば対象になる可能性が高い。ケアマネか施設に確認してほしい。

見学を終えて感じたこと

5ヶ所を見学して思ったのは、パンフレットや口コミだけでは絶対に分からないことがあるということだ。設備の新しさと、ケアの質はまったく比例しない。

判断基準は結局シンプルだった。「自分がここに住めるか」。見学中にそう感じられた施設が、良い施設だった。

施設探しは時間がかかる。親の状態が悪化してから慌てて探すのでは選択肢が狭まる。早すぎるくらいの時期から動き始めることを強く勧めたい。

※本記事は個人の体験に基づく情報提供であり、医療的助言ではありません。健康上の懸念がある場合は、医師にご相談ください。

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